ごじいんがはらのかたきうち
護持院原の敵討

冒頭文

播磨国(はりまのくに)飾東郡(しきとうごおり)姫路(ひめじ)の城主酒井雅楽頭忠実(うたのかみただみつ)の上邸(かみやしき)は、江戸城の大手向左角にあった。そこの金部屋(かねべや)には、いつも侍(さむらい)が二人ずつ泊ることになっていた。然(しか)るに天保(てんぽう)四年癸(みずのと)巳(み)の歳(とし)十二月二十六日の卯(う)の刻過(すぎ)の事である。当年五十五歳になる、大金奉行(おおかねぶぎょう

文字遣い

新字新仮名

初出

「ホトトギス」1913(大正2)年10月

底本

  • 山椒大夫・高瀬舟
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1968(昭和43)年5月30日、1985(昭和60)年6月10日41刷改版