ほっくしけん
発句私見

冒頭文

一 十七音 発句(ほつく)は十七音を原則としてゐる。十七音以外のものを発句と呼ぶのは、——或は新傾向の句と呼ぶのは短詩と呼ぶのの勝(まさ)れるに若(し)かない。(勿論かう言ふ短詩の作家、河東碧梧桐、中塚一碧楼、荻原井泉水等の諸氏の作品にも佳作のあることは事実である。)若し単に内容に即して、かう云ふ短詩を発句と呼ぶならば、発句は他の文芸的形式と、——たとへば漢詩などと異らないであらう。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「ホトトギス」1926(大正15)年7月

底本

  • 芥川龍之介全集 第十三巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年11月8日