おいたるすさのおのみこと |
老いたる素戔嗚尊 |
冒頭文
一 高志(こし)の大蛇(をろち)を退治した素戔嗚(すさのを)は、櫛名田姫(くしなだひめ)を娶(めと)ると同時に、足名椎(あしなつち)が治めてゐた部落の長(をさ)となる事になつた。 足名椎は彼等夫婦の為に、出雲(いづも)の須賀へ八広殿(やひろどの)を建てた。宮は千木(ちぎ)が天雲(あまぐも)に隠れる程大きな建築であつた。 彼は新しい妻と共に、静な朝夕を送り始めた。風の声も浪
文字遣い
新字旧仮名
初出
「大阪毎日新聞」「東京日日新聞」1920(大正9)年3~6月
底本
- 現代日本文學大系 43 芥川龍之介集
- 筑摩書房
- 1968(昭和43)年8月25日