えいがとらいのもんだい
映画と癩の問題

冒頭文

数年来、映画をまったく見ていない私は、作品としての映画を批評する資格を持たない。したがって私は、映画「小島の春」を批評することはできないが、癩というものが、あのような仕方で映画にされ、あのような方法で興行されたという事実に対してはいまだに深い疑問をいだいている。そしてこの疑問はいまだに疑問のままで心の隅にわだかまっており容易に解けようとしない。そこで次にほぼ疑問の形においてこれらの問題を提出してお

文字遣い

新字新仮名

初出

「映画評論」1941(昭和16)年5月号

底本

  • 現代日本思想大系 14 芸術の思想
  • 筑摩書房
  • 1964(昭和39)年8月15日