さんにんのそうせいじ |
三人の双生児 |
冒頭文
1 あの一見奇妙に見える新聞広告を出したのは、なにを隠そう、この妾(わたし)なのである。 「尋(タズ)ネ人……サワ蟹(ガニ)ノ棲(ス)メル川沿イニ庭アリテ紫ノ立葵(タチアオイ)咲ク。其(ソ)ノ寮(リョウ)ノ太キ格子(コウシ)ヲ距(ヘダ)テテ訪ネ来ル手ハ、黄八丈(キハチジョウ)ノ着物ニ鹿(カ)ノ子(コ)絞(シボ)リノ広帯ヲ締メ、オ河童(カッパ)ニ三ツノ紅(アカ)キ『リボン』ヲ附ク、今ヨリ
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
底本
- 海野十三全集 第2巻 俘囚
- 三一書房
- 1991(平成3)年2月28日