ひなまつりのはなし |
雛祭りの話 |
冒頭文
一 淡島様 黙阿弥の脚本の「松竹梅湯島掛額(シヨウチクバイユシマノカケガク)」は八百屋お七をしくんだものであるが、其お七の言葉に、内裏びなを羨んで、男を住吉様(スミヨシサマ)女を淡島様(アハシマサマ)といふ条(クダ)りが出てくる。お雛様を祭る婦人方にも、存外、淡島様とお雛様との関係を、知らぬ人が多いことゝ思ふ。 古くは願人(グワンニン)といふ乞食房主があつて、諸国を廻りめぐつて、婦人たちに淡島
文字遣い
新字旧仮名
初出
「愛国婦人 第四七九号」1922(大正11)年3月
底本
- 折口信夫全集 3
- 中央公論社
- 1995(平成7)年4月10日