さんえもんのつみ |
三右衛門の罪 |
冒頭文
文政(ぶんせい)四年の師走(しわす)である。加賀(かが)の宰相(さいしょう)治修(はるなが)の家来(けらい)に知行(ちぎょう)六百石(こく)の馬廻(うままわ)り役(やく)を勤める細井三右衛門(ほそいさんえもん)と云う侍(さむらい)は相役衣笠太兵衛(きぬがさたへえ)の次男数馬(かずま)と云う若者を打ち果(はた)した。それも果し合いをしたのではない。ある夜(よ)の戌(いぬ)の上刻(じょうこく)頃、数馬
文字遣い
新字新仮名
初出
「改造」1924(大正13)年1月
底本
- 芥川龍之介全集5
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1987(昭和62)年2月24日