がくせいじだい
学生時代

冒頭文

わたくしの学生時代の談話をしろと仰(おっし)ゃっても別にこれと云って申上げるようなことは何もございません。特(こと)にわたくしは所謂学生生活を仕た歳月が甚だ少くて、むしろ学生生活を為(せ)ずに過して仕舞ったと云っても宜い位ですから、自分の昔話をして今の学生諸君に御聞かせ申そうというような事は、実際ほとんど無いと云ってもよいのです。ですから平に御断りを致します。何処ぞの学校の寄宿舎にでも居ったとか何

文字遣い

新字新仮名

初出

「中學文藝」1906(明治39)年6月臨時増刊

底本

  • 露伴全集 第二十九卷
  • 岩波書店
  • 1954(昭和29)年12月4日