しょうぐん |
将軍 |
冒頭文
一 白襷隊 明治三十七年十一月二十六日の未明だった。第×師団第×聯隊の白襷隊(しろだすきたい)は、松樹山(しょうじゅざん)の補備砲台(ほびほうだい)を奪取するために、九十三高地(くじゅうさんこうち)の北麓(ほくろく)を出発した。 路(みち)は山陰(やまかげ)に沿うていたから、隊形も今日は特別に、四列側面の行進だった。その草もない薄闇(うすやみ)の路に、銃身を並べた一隊の兵が、白襷(
文字遣い
新字新仮名
初出
「改造」1922(大正11)年1月
底本
- 芥川龍之介全集4
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1987(昭和62)年1月27日