じゅうごねんかん |
十五年間 |
冒頭文
れいの戦災をこうむり、自分ひとりなら、またべつだが、五歳と二歳の子供をかかえているので窮し、とうとう津軽の生家にもぐり込んで、親子四人、居候(いそうろう)という身分になった。 たいていの人は、知っているかと思うが、私は生家の人たちと永いこと、具合の悪い間柄になっていた。げびた言い方をすれば、私は二十代のふしだらのために勘当されていたのである。 それが、二度も罹災(りさい)して、
文字遣い
新字新仮名
初出
「文化展望」1946(昭和21)年4月号
底本
- グッド・バイ
- 新潮文庫、新潮社
- 1972(昭和47)年7月30日