アイ キャン スピーク
I can speak

冒頭文

くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。この世とは、あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷(ろうこう)の内に、見つけし、となむ。 わが歌、声を失い、しばらく東京で無為徒食して、そのうちに、何か、歌でなく、謂(い)わば「生活のつぶやき」とでもいったようなものを、ぼそぼそ書きはじめて、自分の文学のすすむべき路(みち)すこしずつ、そのおのれの作品に依って知

文字遣い

新字新仮名

初出

「若草」1939(昭和14)年2月号

底本

  • 新樹の言葉
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1982(昭和57)年7月25日