月 日。 郵便受箱に、生きている蛇(へび)を投げ入れていった人がある。憤怒。日に二十度、わが家の郵便受箱を覗(のぞ)き込む売れない作家を、嘲(あざけ)っている人の為(な)せる仕業にちがいない。気色あしくなり、終日、臥床。 月 日。 苦悩を売物にするな、と知人よりの書簡あり。 月 日。 工合いわるし。血痰しきり。ふるさとへ告げやれども、信じて呉(く)れない様子である。