プロレタリアびじゅつてんをみる
プロレタリア美術展を観る

冒頭文

(一) ほんとは一時間半もあれば充分見られるだろうと思って行ったのだ。ところが面白い。帝展なんかみたいに素通りということはとても出来ない。おしまいには鼻を押しつけるようにしても、もう見えない程暗くなって仕舞った。 今度の展覧会はビラにも印刷してある通り第三回目だ。一回二回は自分の知らないときに、種々な困難を克服して開催された。自分としては、だからはじめっから今日までの日本におけるプ

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京日日新聞」1930(昭和5)年12月3、4、5日号

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日