『すすみゆくむすめたちへ』によせて
『進み行く娘達へ』に寄せて

冒頭文

かなしい昔の母たちが最愛の娘のためにととのえてやる生涯の仕度は、幾重ねかの嫁入衣装と一ふりの懐剣とであった。現代の若い母が、わが娘への深い愛情をひろく次の世代の女性たちの幸福への建設というところまでひろげて感じ、その暖いたすけとして一冊の本を書くようにもなって来たのは何とよろこばしいことだろうかと思う。 一九四〇年十二月

文字遣い

新字新仮名

初出

「朝日新聞」1940(昭和15)年12月10日

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日