せんぴょう |
選評 |
冒頭文
予選をとおった十八篇の原稿が回されてきた。そのなかでは「電池」(富田ミツ)が一番すぐれている。落付きをもった筆で、いきいきと今日の学童の生活雰囲気、その間におこる小事件が描かれ、歪んだ苦しい社会相もそのかげに映しだされている。はじめ学校全体から理科用電池を盗んだと思われたうすのろの伍助の姿、やがてほんとは松井という少年がそれをとったという事実がはっきりして伍助への同情が学校にひろがって来る過程もリ
文字遣い
新字新仮名
初出
「週刊教育新聞」日本教職員組合、1948(昭和23)年1月1日号
底本
- 宮本百合子全集 第三十巻
- 新日本出版社
- 1986(昭和61)年3月20日