こだいにおけるげんごでんしょうのすいい |
古代に於ける言語伝承の推移 |
冒頭文
一 所謂民間伝承といふ言葉を、初めて公に使はれたのは、たしか松村武雄さんであつたと思ふ。そして、それを現在、柳田国男先生はじめ、我々も使うて居るのである。こゝでは、この民間伝承のうちの、言語伝承の移り変りに就いて、述べたいと思ふ。言語伝承には、言語の形式と、言語そのものと、二つの方面があるが、此話では、只今残つて居るものではなく、大分以前に、固定したものに就いて、話して見たい。実は、言語の問題は
文字遣い
新字旧仮名
初出
「民俗学 第二巻第一号」1930(昭和5)年1月
底本
- 折口信夫全集 3
- 中央公論社
- 1995年4月10日