だいがくのけんきゅう |
だいがくの研究 |
冒頭文
夏祭浪花鑑の長町裏の場で、院本には「折から聞える太鼓鉦」とあるばかりなのを、芝居では、酸鼻な舅殺しの最中に、背景の町屋の屋根の上を、幾つかの祭礼の立て物の末が列つて通る。あれが、だいがくと言ふ物なのである。尤、東京では、普通の山車を見せる事になつて居る様であるが、此は適当な飜訳と言ふべきであらう。 一昨年実川延二郎が本郷座で団七九郎兵衛を出した時は、万事大阪の型どほりで、山車をやめて、だいがくを
文字遣い
新字旧仮名
初出
「土俗と伝説 第一巻第一・三号」1918(大正7)年8、10月
底本
- 折口信夫全集 2
- 中央公論社
- 1995(平成7)年3月10日