ぞくさいほうのひと
続西方の人

冒頭文

1 再びこの人を見よ クリストは「万人の鏡」である。「万人の鏡」と云ふ意味は万人のクリストに傚(なら)へと云ふのではない。たつた一人のクリストの中に万人の彼等自身を発見するからである。わたしはわたしのクリストを描き、雑誌の締め切日の迫つた為にペンを抛(なげう)たなければならなかつた。今は多少の閑(ひま)のある為にもう一度わたしのクリストを描き加へたいと思つてゐる。誰もわたしの書いたものなどに

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造」1927(昭和2)年9月

底本

  • 現代日本文学大系 43 芥川龍之介集
  • 筑摩書房
  • 1968(昭和43)年8月25日