どんぐりとやまねこ |
どんぐりと山猫 |
冒頭文
をかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。 かねた一郎さま 九月十九日 あなたは、ごきげんよろしいほで、けつこです。 あした、めんどなさいばんしますから、おいで んなさい。とびどぐもたないでくなさい。 山ねこ 拝 こんなのです。字はまるでへたで、墨もがさがさして指につくくらゐでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてた
文字遣い
新字旧仮名
初出
「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日
底本
- 宮沢賢治全集8
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1986(昭和61)年1月28日