からすのほくとしちせい |
烏の北斗七星 |
冒頭文
つめたいいぢの悪い雲が、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだか判(わか)らないやうになりました。 烏(からす)の義勇艦隊は、その雲に圧(お)しつけられて、しかたなくちよつとの間、亜鉛(とたん)の板をひろげたやうな雪の田圃(たんぼ)のうへに横にならんで仮泊といふことをやりました。 どの艦(ふね)もすこしも動きません。 まつ黒くなめらかな
文字遣い
新字旧仮名
初出
「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日
底本
- 宮沢賢治全集8
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1986(昭和61)年1月28日