一 一九一七年に、世界は一つの新しい伝説を得た。「ロシア革命」。当時、そのロシアに住んでいた者は、物心づいた子供から、老耄(ろうもう)の一つ手前に達した年寄りまで、それぞれ一生の逸話(アネクドート)を拾った。逸話は、いかにもこの国風な復活祭の卵のように色つきで、或る者のは白、或るもののは緑、或る者のは真赤だ。 レオニード・グレゴリウィッチ・ジェルテルスキーはやっと商業学校を出たばか