ペーチャのはなし
ペーチャの話

冒頭文

ペーチャは十一だ。サヴェート同盟の百姓の息子だ。うちには牝牛が一匹、鶏が八羽、豚が四匹に、猫と犬とがいる。 春から秋の末まで、おとっさんとおっかさんは一日、朝から晩まで畑で働いた。サヴェートでは日本でタンボをつくるように麦畑をつくる。馬鈴薯、玉ネギ、キャベツなどもつくる。 ペーチャの親たちは、自分の畑のほかに、村の金持の百姓レスコフの畑でも働いた、つまり小作をやっていたんだ。

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年戦旗」1931(昭和6)年9・10月合併号

底本

  • 宮本百合子全集 第四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年9月20日