ピムキン、でかした!
ピムキン、でかした!

冒頭文

一 ピムキンはパルチザンだった。——これは嘘じゃないだろう。 緑や黄色のパルチザンじゃあなく、正真正銘赤のパルチザンだった。——これも嘘じゃないだろう。 九十七戸あるビリンスキー村のまんなかに往還があって、人気(ひとけ)ない昼間、その往還を山羊や豚が歩いた。ちょっと左へ小丘をのぼったところに村ソヴェトの建物がある。赤いプラカートが、毎年の雪にさらされて木目をうき上らした羽

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊朝日」1931(昭和6)年4月1日春季特別号

底本

  • 宮本百合子全集 第四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年9月20日