一 シューッ、シューッ、……ギー。 カッカッカッと揺れながら線路を換え、前の方からだんだん薄暗く構内にさしかかるにつれて、先頭の、重い機関車(ロコモティブ)からは世にも朗らかなカラーンカラン、カラーンカランという、鐘の響が伝って来る。 車内は、降りる支度で総立ちになっている。窓硝子に顔を近よせて外を見ると、遙か前方にチラチラと赤や緑の警燈が瞬き、黒く、夜のような地下の穹窿