しなまいのふくろ
支那米の袋

冒頭文

ああ……すっかり酔っちゃったわ。……でも、もう一杯カニャックを飲ましてちょうだいね……。 あんたもお飲みなさいよ。今夜は特別だからサア……ええ。妾(わたし)の気持ちが特別なのよ。今夜は……。 ……そのわけは今話すわよ。話すから一パイお飲みなさいったら……それあトテモ恐ろしい話なのよ。……ダメダメ。いくらあんたが日本の軍人だって、妾の話をおしまいまで聞いたら屹度(きっと)ビックリ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1929(昭和4)年4月号

底本

  • 夢野久作全集6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年3月24日