たんていしょうせつのしょうたい |
探偵小説の正体 |
冒頭文
探偵小説はジフテリヤの血清に似ている。ジフテリヤの血清をジフテリヤ患者に注射するとステキに利く。百発百中と云ってもいい位おそろしい効果を以て、ジフテリヤの病源体をヤッツケてしまうらしい。 それでいてジフテリヤの病源体はまだ発見されていない。近代医学の威力を以てしても正体が掴めないでいる。つまり薬の方が先に発見されているのに、病気の正体の方が判明しないので、裁判が確定しているのに、犯人が捕
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 夢野久作全集11
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1992(平成4)年12月3日