もくしのページ
黙示のページ

冒頭文

終始末期を連続しつつ、愚な時計の振り子の如く反動するものは文化である。かの聖典黙示の頁に埋れたまま、なお黙々とせる四騎手はいずこにいるか。貧、富、男、女、層々とした世紀の頁の上で、その前奏に於て号々し、その急速に於て驀激し、その伴奏に於てなお且つ奔闘し続ける、黙示の四騎士はこれである。もしも黙示の彼らが、かかる現前の諸相であると仮定したなら、彼らの中の勝者はいずれであるか。曾て敗北せる者は貧であっ

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1924(大正13)年1月21日

底本

  • 日本の名随筆 別巻100 聖書
  • 作品社
  • 1999(平成11)年6月25日