しょうがくせいのしがく |
章学誠の史学 |
冒頭文
清朝の乾隆嘉慶の時代は考據の學が全盛を極めた時であつて、經學は勿論史學に於ても考據の大家たる錢大昕・王鳴盛などといふ人が出て、史學の風潮を全く考據に傾けたのであつた。然るにその時代に於て、浙江の紹興府から一人の變つた學者が出た。さうして一代の風潮の間に獨立して、史學を考據の方法に據らずして、全く理論的の考へ方から研究したのである。その人が即ち章學誠である。 この人はその生立ちからして少し
文字遣い
旧字旧仮名
初出
大阪懷徳堂講演、1928(昭和3)年10月6日、「懐徳」第八号に講演録所収
底本
- 内藤湖南全集 第十一巻
- 筑摩書房
- 1969(昭和44)年11月30日