にじゅっせいききしゅ |
二十世紀旗手 |
冒頭文
序唱 神の焔(ほのお)の苛烈(かれつ)を知れ 苦悩たかきが故に尊からず。これでもか、これでもか、生垣へだてたる立葵(たちあおい)の二株、おたがい、高い、高い、ときそって伸びて、伸びて、ひょろひょろ、いじけた花の二、三輪、あかき色の華美を誇りし昔わすれ顔、黒くしなびた花弁の皺(しわ)もかなしく、「九天たかき神の園生(そのう)、われは草鞋(わらじ)のままにてあがりこみ、たしかに神域犯したてまつりて、
文字遣い
新字新仮名
初出
「改造」1937(昭和12)年1月
底本
- 太宰治全集2
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1988(昭和63)年9月27日