ロプ・ノールそのた
ロプ・ノールその他

冒頭文

東トルキスタン東部の流砂の中に大きな湖水ロプ・ノールのあることは二千年昔のシナ人にはすでに知られていて、そのだいたいの形や位置を示す地図ができていたそうである。西暦一七三三年に二人のヨーロッパ人が独立に別々にその地方の地図をシナから持ち帰った。ところがマルコポロは一二七三年にこの湖のすぐ南の砂漠(さばく)を通ったはずであるのに湖の事はなんとも言っていないのがおかしい。一七六〇年にシナ政府は三人のジ

文字遣い

新字新仮名

初出

「唯物論研究」1932(昭和7)年12月

底本

  • 寺田寅彦随筆集 第三巻
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1948(昭和23)年5月15日、1963(昭和38)年4月16日第20刷改版