ときのかんねんとエントロピーならびにプロバビリティ
時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ

冒頭文

時の観念に関しては、哲学者の側でいろいろ昔からむつかしい議論があったようである。自分はそれらの諸説について詳しく調べてみる機会を得ないが、簡単な言葉でしかもそれ自身すでに時の概念を含んでいないような言葉で「時」に定義を下そうというような企てはたいてい失敗に帰しているようである。「一様に流れる量」であるとか、「逸しつつある広がり」だとかいうのはもちろん時の定義でもなければ説明とも思われぬ。Si no

文字遣い

新字新仮名

初出

「理学会」1917(大正6)年1月

底本

  • 日本の名随筆91 時
  • 作品社
  • 1990(平成2)年5月25日