★ 鋼(はがね)のように澄みわたる大空のまん中で 月がすすり泣いている。 ………けがらわしい地球の陰影(かげ)が 自分の顔にうつるとて………… それを大勢の人間から見られるとて………… …………身ぶるいして嫌がっている。 ★ ………しかし……… 逃れられぬ暗い運命は………… 刻々に彼女に迫って来る。 大空のただ中に………… ★ ……はじまった…… 月蝕が…………