びだんしとたばこ |
美男子と煙草 |
冒頭文
私は、独(ひと)りで、きょうまでたたかって来たつもりですが、何だかどうにも負けそうで、心細くてたまらなくなりました。けれども、まさか、いままで軽蔑(けいべつ)しつづけて来た者たちに、どうか仲間にいれて下さい、私が悪うございました、と今さら頼む事も出来ません。私は、やっぱり独りで、下等な酒など飲みながら、私のたたかいを、たたかい続けるよりほか無いんです。 私のたたかい。それは、一言で言えば
文字遣い
新字新仮名
初出
「日本小説」1948(昭和23)年1月
底本
- 太宰治全集9
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1989(平成元)年5月30日