しきのついおく
子規の追憶

冒頭文

子規(しき)の追憶については数年前『ホトトギス』にローマ字文を掲載してもらったことがある。今度これを書くのに参考したいと思って捜したが、その頃の雑誌が手許(てもと)に見当らない。とにかく同じような事を二度は書きたくないから、前に書かなかったと思うことだけを記すことにする。         一 自然科学に関する話題にも子規はかなりの興味を有(も)って居たように思われる。当時自分は訪問して

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本及日本人」1928(昭和3)年9月

底本

  • 寺田寅彦全集 第一巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年12月5日