やぶのなか |
藪の中 |
冒頭文
檢非違使に問はれたる木樵りの物語 さやうでございます。あの死骸(しがい)を見(み)つけたのは、わたしに違(ちが)ひございません。わたしは今朝(けさ)何時(いつ)もの通(とほ)り、裏山(うらやま)の杉(すぎ)を伐(き)りに參(まゐ)りました。すると山陰(やまかげ)の藪(やぶ)の中(なか)に、あの死骸(しがい)があつたのでございます。あつた所(ところ)でございますか? それは山科(やましな)の驛
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「新潮」1922(大正11)年1月1日
底本
- 現代日本文學全集 第三〇篇 芥川龍之介集
- 改造社
- 1928(昭和3)年1月9日