ぶんがくずきのかていから
文学好きの家庭から

冒頭文

私の家は代々お奥坊主(おくぼうず)だったのですが、父も母もはなはだ特徴のない平凡な人間です。父には一中節(いっちゅうぶし)、囲碁、盆栽、俳句などの道楽がありますが、いずれもものになっていそうもありません。母は津藤(つとう)の姪(めい)で、昔の話をたくさん知っています。そのほかに伯母(おば)が一人いて、それが特に私のめんどうをみてくれました。今でもみてくれています。家(うち)じゅうで顔がいちばん私に

文字遣い

新字新仮名

初出

「文章倶楽部」1918(大正7)年1月

底本

  • 羅生門・鼻・芋粥
  • 角川文庫、角川書店
  • 1950(昭和25)年10月20日