だんじょどうけん
男女同権

冒頭文

これは十年ほど前から単身都落ちして、或(あ)る片田舎(かたいなか)に定住している老詩人が、所謂(いわゆる)日本ルネサンスのとき到って脚光を浴び、その地方の教育会の招聘(しょうへい)を受け、男女同権と題して試みたところの不思議な講演の速記録である。 ——もはや、もう、私ども老人の出る幕ではないと観念いたしまして、ながらく蟄居(ちっきょ)してはなはだ不自由、不面目の生活をしてまいりましたが、こん

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1946(昭和21)年12月

底本

  • 太宰治全集8
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1989(平成元)年4月25日