はいくのけいしきとそのしんか
俳句の型式とその進化

冒頭文

三十年ほどの間すっかり俳句の世間から遠ざかって仮寝をしていた間に、いろいろな「新型式俳句」が発生しているのを、やっとこのごろ目をさましてはじめて気がついて驚いているところである。二十二字三字四字から二十五字六字というのがあるかと思うと三十四字五字というのもある。文字数においてすでに短歌の三十一文字を凌駕(りょうが)しているのであるが、一方ではまた短歌のほうでも負けていないで、五十文字ぐらいは普通だ

文字遣い

新字新仮名

初出

「俳句研究」1934(昭和9)年11月

底本

  • 寺田寅彦随筆集 第五巻
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1948(昭和23)年11月20日