ていしゃばのしょうじょ ――「きんだいいようへん」
停車場の少女 ――「近代異妖編」

冒頭文

「こんなことを申上げますと、なんだか嘘らしいやうに思召(おぼしめ)すかも知れませんが、これはほんたうの事で、わたくしが現在出会つたのでございますから、どうか其(その)思召(おぼしめし)でお聴きください。」 Mの奥さんはかういふ前置(まえおき)をして、次の話をはじめた。奥さんはもう三人の子持で、その話は奥さんがまだ女学校時代の若い頃の出来事ださうである。 まつたくあの頃はまだ若うござ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「講談倶樂部」1925(大正14)年5月

底本

  • 日本幻想文学集成23 岡本綺堂
  • 国書刊行会
  • 1993(平成5)年9月20日