シグナルとシグナレス |
シグナルとシグナレス |
冒頭文
「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 さそりの赤眼(あかめ)が 見えたころ、 四時から今朝(けさ)も やって来た。 遠野(とおの)の盆地(ぼんち)は まっくらで、 つめたい水の 声ばかり。 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 凍(こご)えた砂利(じゃり)に 湯(ゆ)げを吐(は)き、 火花を闇(やみ)に まきながら、 蛇紋岩(サアペンテイン)の 崖(がけ)に来て
文字遣い
新字新仮名
初出
「岩手毎日新聞」1923(大正12)年5月
底本
- セロ弾きのゴーシュ
- 角川文庫、角川書店
- 1957(昭和32)年11月15日、1967(昭和42)年4月5日10版