じょせいと
女生徒

冒頭文

あさ、眼をさますときの気持は、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっと襖(ふすま)をあけられ、日の光がどっと来て、でこちゃんに、「見つけた!」と大声で言われて、まぶしさ、それから、へんな間の悪さ、それから、胸がどきどきして、着物のまえを合せたりして、ちょっと、てれくさく、押入れから出て来て、急にむかむか腹立たしく、あの感じ、いや、ち

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学界」1939(昭和14)年4月

底本

  • 女生徒
  • 角川文庫、角川書店
  • 1954(昭和29)年10月20日、1968(昭和43)年2月5日改版44版