ぶんがくにおけるこんにちのにほんてきなるもの |
文学における今日の日本的なるもの |
冒頭文
この間、『朝日新聞』であったか、『読売新聞』であったか、文芸欄に、座談会についてのモラルという文章があった。座談会の席上では勝手な熱をふいてかきまわしておきながら、記事になるときはすっかりそれを削ってしまうようなことがあったりしてはよろしくないという点を云っていた。座談会の常識としては、他にいくつかのことが考えられるであろうが、その一つとして、謂わば自分のうちの座敷へひとをよんでおいて、そこが自分
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸春秋」1937(昭和12)年3月号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日