ぶんがくじょうのふっこてきていしょうにたいして |
文学上の復古的提唱に対して |
冒頭文
一 古典摂取の態度 この間、ある人に会ったら、こういう話が出た。どこかの宴会でその人が日蓮宗の坊さんに逢ったら、その坊さんが、この頃では私共も古事記なんかをよまないとものが云えないようになりました。五・一五頃の若い軍人は殆ど日蓮宗でしたが、近頃はああいう連中が誰も彼も古事記を読みますんで、ということであったそうだ。 岩波文庫に古事記が出ていて、岩波さんに云わすと、あれは実は改版した
文字遣い
新字新仮名
初出
「都新聞」1937(昭和12)年3月8~11日号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日