ヒューマニズムへのみち ぶんげいじひょう |
ヒューマニズムへの道 文芸時評 |
冒頭文
加賀耿二氏の「希望館」という小説が三月号の『中央公論』に載っている。 僧侶によって経営される思想犯保護施設である希望館の内部生活の描写とその屈辱と汚穢に堪えきれなかった仙三という主人公が、大阪太陽新聞主催の見世物めいた座談会の席上で、希望館同宿人の中で最も卑屈狡猾な江沼という男を殺傷する場面で終っている。 この作者は、題材的には、常に実際の生活の中に起った出来事を取り上げてゆく
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸春秋」1937(昭和12)年4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日