ヒューマニズムのしょそう |
ヒューマニズムの諸相 |
冒頭文
日本にヒューマニズムのことが言われはじめたのは、この一二年来のことであり、主としてフランスの今日の文学を支配している活動的なヒューマニズムの影響を受けたものであった。一九三二年以来日本の社会的事情は急激に変化して、プロレタリア文学は退潮を余儀なくされ、その背後の社会的な力は同時にブルジョア文学をも著しく萎靡(いび)させた。それに反撥する要求として、一部の作家から文学に於ける能動的精神ということが言
文字遣い
新字新仮名
初出
「雑記帳」1937(昭和12)年3月号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日