さっかのみたかがくしゃのぶんがくてきかつどう
作家のみた科学者の文学的活動

冒頭文

「生」の科学と文学 随分古いことになるが、モウパッサンの小説に「生の誘惑」というのがあり、それを前田晁氏であったかが訳して出版された。私は十四五で、その小説を熱心に読んだ。なかに、パリの社交界で華美ないかがわしい生活を送っている女の娘が、樹の下の草にねころびながら、男の友達に本を読んで貰っている。美しい娘は草の上にはらばいになって手に草の葉をもち、そこにつたわって来ている一匹の蟻を眺めてそれ

文字遣い

新字新仮名

初出

「科学ペン」1937(昭和12)年10月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十一巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年1月20日