ぜんたいしゅぎへのぎんみ こんにちのみんしゅう、ちしきじんへのかだい |
全体主義への吟味 今日の民衆、知識人への課題 |
冒頭文
文学の分野においても、本年の初頭から民衆と知識階級との社会関係の再吟味がとりあげられて来ている。しかし、そのとりあげられかたは一種独特な色調を帯びていて、例えば、『文学界』の同人達によって喧しく提案された文壇否定、従来の意味での職業的文壇的作家の否定、文学の大衆化の声は、不思議にも常に今日の民衆がおかれている文化の貧困と水準の低さとをそれなりに肯定した上で発せられている。この種の論者は、浪花節を何
文字遣い
新字新仮名
初出
「自由」1937(昭和12)年10月号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日