らんだのかるた |
懶惰の歌留多 |
冒頭文
私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰(たいだ)である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。まさか、それを自慢しているわけではない。ほとほと、自分でも呆(あき)れている。私の、これは、最大欠陥である。たしかに、恥ずべき、欠陥である。 怠惰ほど、いろいろ言い抜けのできる悪徳も、少い。臥竜(がりょう)。おれは、考えることをし
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸」1939(昭和14)年4月
底本
- 太宰治全集2
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1988(昭和63)年9月27日