こんにちのどくしゃのせいかく |
今日の読者の性格 |
冒頭文
一 今から二十何年か前、第一次ヨーロッパ大戦が終る前後の日本では、足袋に黄金のこはぜをつけた人もあるというような話があった。そして、ジャーナリズムもこの時代に一つの経済的な飛躍をとげ、菊池寛、久米正雄というような作家たちを通俗作家として出発させ、円本が売れた。一つの画期をなした時代であったが、読者というものはあの頃、どんな角度で現れていたのだろう。 大戦前後、先ず高まった一般の購買
文字遣い
新字新仮名
初出
「都新聞」1940(昭和15)年5月19~22日号
底本
- 宮本百合子全集 第十一巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年1月20日