のがみやえこさまへ |
野上弥生子様へ |
冒頭文
野上彌生子様 私が女学校の五年生であった頃、多分読売新聞に御連載に成った「二人の小さいヴァガボンド」を、深い感銘を以て拝読して以来、御作はいつも、密接な心的関係を保って、今日に至っております。 それは勿論、貴女が自分の志す道の先達であられるということもございましたろう。 けれども、それより直接に強く私の心を捕えたものは、御作を透して感じずにはおられない、独特の貴女でご
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1921(大正10)年4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年12月20日